医療介護に特化したツールのデメリットとメリット

私自身医療介護業界で10年以上仕事をしてきたので、医療介護に特化したツール(電子カルテや介護ソフトなど)も勿論長い間使ってきました。その中で、業種に特化したツールにはデメリットが多くメリットは現場には少ないと考えています。

現場の欲しいが叶わない。叶えるには驚きのコスト

特化ツールやパッケージツールには、作っている会社が「きっとこんな機能が欲しいだろう」という機能がついています。その機能は現場をヒアリングして作ったものですから、概ね欲しいものは揃っています。

揃っているけど、満足はできません。

ついていない機能が欲しいとなればオプションなり、追加で開発となります。以前介護ソフトにデイサービスで使う送迎車の車両管理もしたいって話をしたら、車両管理ツールを別に導入するよりも一桁多い金額に見積もりが来ました。ただ、これは当然のことだと思います。

なぜならば、個別のニーズに対して作業を行うのですから、オリジナル作業。特別な業務となります。個別対応のコストは高くなるもんです。なので、電子カルテや介護ソフトにできない部分は時間をかけて頑張るか、その業務に特化したツールを導入するとかですよね。マイクロソフトの出番が多いのではないでしょうか?

医療機関介護施設の情報共有ツールは不要になる

例えば、私も作ったことがある業務アプリの1つ「転院調整管理アプリ」キントーンで入院調整や退院調整の情報を共有するために利用しています。今そういったツールも増えてきていますが、作っていた当初から「このアプリはいずれ不要にならないといけない」と考えていました。

病院、介護施設、在宅サービスなどは現在情報の共有を口頭と紙で行っています。この部分をデジタルで共有するとスピード感もあるし最高!ではないんですよね。本来であれば、普段使っている電子カルテや介護ソフトの中にある情報を共有できればいいんです。そして、その考え方は徐々に進んでいます。

第3回健康・医療・介護情報利活用検討会 医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループ資料について

ハードルは高いですし、時間もかかると思います。ただ、こういった動きが進んでいくことに対しては元現場としも、医療介護業界を支援する人間としても大喜びです。

資料2-3 HL7 FHIR の現状と社会実装イメージ[PDF形式:1.7MB]

ツールが増えるとコストも負担も増える

ツールを導入する際、コストがかかります。無料ツールだとコストはかからないと思っている人がたまにいますが、これは間違っています。導入に関わる人件費も立派なコストです。無料ツールの使い方を覚えて、設定して説明する。保守運用も含めて人件費はかかっています。

コストが増えても現場はツールが増えると楽になるかと言えば、そうではないことが多いです。

・ツールが増えると操作を覚える負担
・ツール毎にログインログアウトなど切り替える負担
・同じ情報に2度打ちや、形式の違ったデータ管理の負担

などなどあります。特に画面切り替えが面倒くさいとよく相談されます。1つのツールである程度の業務をこなしたいってのは業界や業種問わずだと思います。

私自身、色々なツールを使い分けて仕事をしています。機能に特化したツールは業務効率もいいですし、仕上がりのクオリティも高くなります。その考え方が万人受けするわけではない。

できる限り同じ画面、同じツールで完結させたい

特化ツールはやめられない。ならば補う部分は汎用ツール

理想は1つのツールで全てを網羅する。しかし、それは難しい。理想と現実は違うわけですね。悲しいけど、仕方ない。自分が会社が欲しいツールがみなさん欲しいとは限らない。売れないツールは作らない。そうであれば、自分の理想に近いものを作ってしまおうという考え方から「キントーン」を私はオススメしています。

・回復期リハビリテーション キントーン事例
・地域包括ケア病棟 キントーン事例
・訪問リハビリテーション キントーン事例
・特別養護老人ホーム キントーン事例

業種や業務に特化したツールにできないことをキントーンで補う。補った結果(データ)を特化ツールに送り返すことも可能です。

キントーンにできないこともたくさんあります。正解なんてございません。

正解ではないですが、不用意なツールの乱立は間違いがと思っています。